今月に入ってビーコンが色々届き始めました。
店でも「何がいいのかわからない」という漠然とした質問が結構多いので、その部分を簡単に理解していただいてから、店に来ていただいた時は機種を絞って説明できればと思いまして。
左から
bca TRACKER DTS(トラッカー):初のデジタルビーコンとして10年程前に発売されて以来、一番普及しているビーコンではないかと思います。周りがみんな使っているから、という理由で選ぶ方も多いですがそれもあり。音と電光フラッシュが考える隙を与えず距離と方向を誘導してくれます。受信範囲が狭く信号を拾うまでに時間がかかる事があるという弱点もありますが、あまり練習好きでない人にとってはイザという時に簡単でパニックに陥りにくいというのは大切な事です。
TRACKER2(トラッカーツー):ダブルアンテナのトラッカーDTSと比べて、こちらはトリプルアンテナ。その分、確かに感度はいいとはいえ、今スペック比べの基準である複数捜索はダブルアンテナのDTSと同じスペシャルモードSPボタンで他の電波を自分で選ぶやり方。これは二つは簡単ですが3つ以上は?です。DTSの場合は「そこまでの機能はいいよ」と割り切って選んでもらってますが。
PIEPS DSP(ピープスDSP)
トリプルアンテナで複数のマーキング捜索が可能。バックアップとしてスキャンモードというデジタルでのレンジ捜索モードがあり、多くのユーザーから高い評価を受けています。個人的には、自分でレンジを切り替えて範囲を絞ることが可能なアナログレンジ捜索がバックアップされているほうが信頼できると感じています。
左から
MAMMUT PULSE(マムートパルス):トリプルアンテナで複数捜索にとても頼りになるビーコン。大抵の場合は3人4人と順調にマーキングできます。しかし当然、状況により機械にもどうしても限界があります。そこでさらに複雑な捜索に対応する為にアナログモード切換えができます。アナログでのレンジ捜索は練習を積むことで、機械任せの捜索より信頼度はアップします。様々な事例を知り、最悪の事態に備えようとするガイドやリーダーがそれなりの訓練を経て使いこなせるハイスペックなビーコンとしておすすめしています。
arva Link(アルバリンク):昨シーズン遅目に登場したトリプルアンテナ。マムート・パルスと互角のハイスペックなビーコンでコストパフォーマンス大。アナログモード切換えもあり、しかも切り替えてもその前のデジタルでのマーキングが消えない(パルスの場合はリセットされる)、さらに複数捜索でマーキング済みの埋没者を何番をオンオフしたり、何番に戻って再捜索という事もできます。
arva Axis(アルバアクシス):今期初登場。まだ届いたばかりでテストしていません。アルバリンクをシンプルにしてコストパフォーマンスを高めたモデルということですが、それでもトリプルアンテナでの複数マーキングやアナログ切換えは出来ます。そのうち、使ってからレポートできればと思います。
MAMMUT ELEMENT(マムートエレメント)
複数マーキングには対応していたいが、一度に5人も6人も捜索するような場面はちょっと、、、という一般ユーザー向けにパルスからアナログ捜索を省略して簡単捜索オンリーにスペックダウンしたモデル。リーズナブルになって人気です。
左から
arva Evolution3plus(アルバエボリューション3プラス):
これは2シーズン前に発売されてまだあまり知られていませんが、実はトリプルアンテナで複数マーキングができて一番リーズナブルなビーコンです。普通に地味に中味と価格で頑張っている感じです。
PIEPS DSP TOUR(ピープスDSPツアー)
複数のマーキング捜索には対応したいがそれ以上のバックアップまでは不要、というニーズに応えたシンプルタイプ。
ORTOVOX 3+(黒、緑)
複数のマーキング捜索には対応したいがそれ以上のバックアップまでは不要、というニーズに応えたシンプルタイプ。オルトボクスにしかない特徴として、2つの送信アンテナを使い分けるという機能があります。例えば縦に埋まってしまった時に電波が遠くに飛びにくいなどの弱点を補う為に別方向のアンテナから発信されるという自動切換え(スマートアンテナ)です。どれくらい探してもらい易いかは、また今度実験してレポートしなければいけません。
PIEPS FREERIDE(ピープスフリーライド):軽くて小さくてリーズナブル。シングルアンテナのデジタル表示で最低限の捜索機能を持っています。ビギナーを連れていく時に、「ガイドツアーから始めるところなので」「いつもレンタルよりは」「お守り代わりに」などなど、それでいいと思います。何かの時はお守りよりはるかに役に立つはずです。
2年前にその時の各社の製品をまとめてテストしてブログにアップしてますので、ご参考まで。
http://rapie-outdoors.cocolog-nifty.com/blog/2009/12/1213-f27d.html
店頭では、他のギアもそうですが特にどのメーカーとタッグを組むわけでなく、ニュートラルな位置をキープしつつ、現場ショップとしての独自の視点、要は本音でそれぞれのユーザーが求める物をおすすめできるよう努力しています。ビーコンについては特にコマーシャルに翻弄されている方が多い感じもあります。あまりスペックにこだわらず、リラックスして選んでいただける参考になればと思います。本当はイエス・ノー式に性格診断をして、「あなたはコレ」とやりたいのですが。
詳しい使い方については書けばキリがないので、店のほうで直接お願いします。デモ機も一通り用意していますので向かいの広っぱで遊んでいただけます。レンタルで一日貸出しもやってます。
それから、「一生モノだから」という声もよく聞かれますが、正直なところビーコンはよく壊れます。毎週末ていど使っている方なら大抵どこかトラブルの経験をお持ちではないでしょうか。今時のラジオを高温多湿のジャケットの中で汗まみれで使っていれば故障が出てもおかしくはありません。何はともあれアフターサービスが信頼できる物を、というのは結構大事かと思います。
→bca TRACKER2
→bca TRACKER DTS
→arva Link
→arva Axis
→arva Evolution3+
→MAMMUT PULSE Barryvox
→MAMMUT ELEMENT Barryvox
→PIEPS DSP
→PIEPS DSP TOUR
→PIEPS Freeride
→ORTOVOX 3+